役員法令試験に合格するには、過去問の分析・攻略を欠かすことはできません。
この記事では「重要条文シリーズ」として、過去問を分析して頻出の条文と過去問を取り上げ、法令試験突破に必要な知識の習得の一助になればと思います。
今回は、貨物自動車運送事業輸送安全規則(以下「安全規則」といいます。)第7条(点呼等)を取り上げます。
この条文は役員法令試験でよく出る?
H3 特に出題回数が多かった条文
関東運輸局が公開している令和3年5月から令和8年7月までに実施された計32回の過去の試験問題を分析した結果、安全規則第7条に関する問題は延べ21問出題され、今回の分析で出題回数が多かった条文の一つでした。
安全規則第7条とは
条文の内容
| (点呼等)※( )内の数字は「号」 第7条 貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の業務に従事しようとする運転者等に対して対面によ り、又は対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法。次項において同じ。)により点呼を行い、次の各号に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示を与えなければならない。 ⑴ 運転者に対しては、酒気帯びの有無 ⑵ 運転者に対しては、疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無 ⑶ 道路運送車両法第47条の2第1項及び第2項の規定(註:「定期点検整備」)による点検の実施又はその確認 ⑷ 特定自動運行保安員に対しては、特定自動運行事業用自動車による運送を行うために必要な自動運行装置(道路運送車両法第41条第1項第20号に規定する自動運行装置をいう。)の設定の状況に関する確認 2 貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の業務を終了した運転者等に対して対面により、又は対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法により点呼を行い、当該業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況について報告を求め、かつ、運転者に対しては酒気帯びの有無について確認を行わなければならない。この場合において、当該運転者等が他の運転者等と交替した場合にあっては、当該運転者等が交替した運転者等に対して行った第3条の2第4項第4号又は第17条第4号の規定による通告についても報告を求めなければならない。 3 貨物自動車運送事業者は、前2項に規定する点呼のいずれも対面により、又は対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法で行うことができない業務を行う運転者等に対し、当該点呼のほかに、当該業務の途中において少なくとも1回対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法(当該方法により点呼を行うことが困難である場合にあっては、電話その他の方法)により点呼を行い、第1項第1号及び第2号に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示をしなければならない。 4 貨物自動車運送事業者は、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であって、国土交通大臣が告示で定めるものをいう。以下同じ。)を営業所ごとに備え、常時有効に保持するとともに、前3項の規定により酒気帯びの有無について確認を行う場合には、運転者の状態を目視等で確認するほか、当該運転者の属する営業所に備えられたアルコール検知器を用いて行わなければならない。 5 貨物自動車運送事業者は、第1項から第3項までの規定により点呼を行い、報告を求め、確認を行い、及び指示をしたときは、運転者等ごとに点呼を行った旨、報告、確認及び指示の内容並びに次に掲げる事項を記録し、かつ、その記録を一年間保存しなければならない。 ⑴ 点呼を行った者及び点呼を受けた運転者等の氏名 ⑵ 点呼を受けた運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は車両番号その他の当該事業用自動車を識別できる表示 ⑶ 点呼の日時 ⑷ 点呼の方法 ⑸ その他必要な事項 |
安全規則第7条の内容は?
安全規則第7条は、点呼等を定めた条文です。
この7条に定められている内容を中心に「点呼」について簡単に整理したいと思います。
「点呼」とは?
点呼とは、運送事業者が運転者等に対して、酒気帯びの有無や健康状態、車両の点検状況などを確認し、安全な運行を確保するために必要な指示を行うものです。
安全規則第7条では、業務開始前、業務終了後及び一定の条件での点呼について定めています。
点呼の種類
以下の3種類になります
| 項 | 点呼の種類 | 主な確認事項等 |
| 第1項 | 乗務前点呼 (業務前の点呼) | ・健康状態(体調、疲労、睡眠不足など) ・酒気帯びの有無 ・道路運送車両法第47条の2第1項及び第2項の規定による点検の実施又はその確認 |
| 第2項 | 乗務後点呼 (業務後の点呼) | ・事業用自動車、道路及び運行の状況 ・酒気帯びの有無 |
| 第3項 | 中間点呼 (業務開始前及び終了後の点呼を、いずれも対面又は対面と同等の効果を有する方法で行うことができない業務) | ・酒気帯びの有無 ・健康状態(体調、疲労、睡眠不足など) ・安全運行のための指示 |
酒気帯びの確認について
・アルコール検知器を営業所に備え、常時有効に保持することとされています。
・酒気帯びの有無について確認を行う場合は、運転者の状態を目視で確認し、アルコール検知器も使用します。
点呼の記録について
点呼を実施した際には、運転者ごとに記録し、その記録を1年間保存しなければなりません。
記録すべき事項は次のとおりです。
・点呼実施者及び運転者の氏名
・自動車登録番号又は車体番号、その他、事業用自動車を識別できる表示等
・点呼の日時
・点呼の方法
・その他必要事項
実際の過去問を見てみよう
これまで出題回数の多かった問題をいくつか挙げていきます。
なお、「問題番号」は、出題された「年」、「月」、問題の「番号」を記載したものです。
例)「R8-5-16」の場合、「令和8年5月」実施も問題「16」を意味します。
また、出題回数とは、本件分析期間(令和3年5月実から令和8年7月までに実施された計32回)の中で出題された回数を記載しております。
過去問①(出題回数:6回)
問題番号:R8-1-24、R7-5-24、R6-3-7、R5-5-21、R4-11-3、R3-5-11
《問題》
貨物自動車運送事業者は、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であって、国土交通大臣が告示で定めるものをいう。)を営業所ごとに備え、常時有効に保持するとともに、点呼により酒気帯びの有無について確認を行う場合には、運転者の状態を目視等で確認するほか、当該運転者の属する営業所に備えられたアルコール検知器を用いて行わなければならない。
【正解・解説】
正解:○
解説:設問のとおり。(第7条第4項)
過去問②(出題回数:4回)
問題番号:R6-5-6、R6-11-3、R5-3-18、R4-7-13
《問題》
貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の業務を終了した運転者等に対して対面により、又は対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法により点呼を行い、当該業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況並びに他の運転者等と交替した場合にあっては法令の規定による通告について報告を求め、及び酒気帯びの有無について確認を行わなければならない。
【正解・解説】
正解:○
解説:設問のとおり(第7条第2項参照)。
過去問③(出題回数:4回)
問題番号:R6-9-11、R6-1-6、R5-1-3、R3-7-23
《問題》
貨物自動車運送事業者は、業務従事開始時及び終了時に行う点呼のいずれも対面により、又は対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法で行うことができない業務を行う運転者等に対し、当該点呼のほかに、当該業務の途中において少なくとも1回電話その他の方法により点呼を行わなければならない。
【正解・解説】
正解:○
解説:設問のとおり(第7条第3項参照)。
過去問④(出題回数:4回)
問題番号:R6-7-15、R5-11-25、R4-9-12、R3-9-12
《問題》
貨物自動車運送事業者は、業務従事開始時及び終了時に行う点呼のいずれかを対面により、又は対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法で行うことができない業務を行う運転者等に対し、当該点呼のほかに、当該業務の途中において少なくとも1回電話その他の方法により点呼を行わなければならない。
【正解・解説】
正解:×
解説:中間点呼に関する問題です。
業務開始時及び終了時、いずれも対面によりできない場合、中間点呼を実施しなければなりません。
「いずれか」ではありません。
過去問⑤(出題回数:2回)
問題番号:R7-3-29、R3-5-28
《問題》
貨物自動車運送事業者は、法令の規定により点呼を行い、報告を求め、確認を行い、及び指示をしたときは、運転者ごとに点呼を行った旨、報告、確認及び指示の内容並びに法令に掲げる事項を記録しなければならないが、記録しなければならない事項のうち、誤っているものを①から③より選びなさい。
① 点呼を受けた運転者が乗務する事業用自動車の自動車登録番号、その他事業用自動車を識別できる表示
② 点呼の方法
③ 貨物の集貨地点等
《正解・解説》
正解:③(第7条第5項参照)
解説:「貨物の集荷地点等」は、運転者等の業務の記録に関する事項です(安全規則第8条第1項第7号)
過去問⑥(出題回数:1回)
問題番号:R4-3-18
《問題》
貨物自動車運送事業者は、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であって、国土交通大臣が告示で定めるものをいう。以下同じ。)を営業所ごとに備え、常時有効に保持するとともに、貨物自動車運送事業輸送安全規則の規定により酒気帯びの有無について確認を行う場合には、運転者の状態を電話等で確認するほか、当該運転者の属する営業所に備えられたアルコール検知器を用いて行わなければならない。
【正解・解説】
正解:×
解説:酒気帯びの有無については、運転者の状態を目視等で確認するとともに、アルコール検知器を使用して確認しなければなりません。(第7条第4項参照)。
この条文で押さえておきたいポイント
点呼の際に確認する事項
安全規則第7条第1項では、業務開始前の点呼において、主に次の事項について報告を求め、確認を行い、安全運行のために必要な指示を与えることを定めています。
– 酒気帯びの有無
– 疾病、疲労、睡眠不足などにより、安全な運転ができないおそれの有無
– 道路運送車両法の規定による点検の実施又はその確認
試験対策では、点呼時に確認する事項を正確に押さえておきましょう。
アルコール検知器の使用と管理
安全規則第7条第4項では、アルコール検知器を営業所ごとに備え、常時有効に保持することを定めています。
また、酒気帯びの有無を確認する際には、運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器を使用しなければなりません。
過去問では、アルコール検知器の備付け・管理だけでなく、酒気帯び確認の方法についても出題されています。「営業所ごとの備付け」「常時有効に保持」「目視等による確認」「アルコール検知器の使用」を一連の事項として覚えておきましょう。
中間点呼が必要となる条件
安全規則第7条第3項では、業務開始前及び業務終了後の点呼のいずれも、対面又は対面と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法で行うことができない業務について、業務途中に少なくとも1回、点呼を行うことを定めています。
ここで重要なのは、業務開始前と業務終了後の点呼の「いずれも」所定の方法で行うことができない場合が対象となる点です。
過去問では、「いずれも」を「いずれか」に置き換えるなど、条件の違いを問う問題が出題されています。対象となる条件を正確に理解しておきましょう。
点呼記録の記載事項と保存期間
安全規則第7条第5項では、点呼を行った場合、運転者等ごとに点呼の実施内容などを記録し、1年間保存することを定めています。
記録すべき主な事項は、次のとおりです。
– 点呼を行った者及び点呼を受けた運転者等の氏名
– 事業用自動車の自動車登録番号又は車両番号その他、当該車両を識別できる表示
– 点呼の日時
– 点呼の方法
– その他必要な事項
過去問では、点呼記録の記載事項と、運転者等の業務の記録に記載する事項を混同させる問題にも注意が必要です。
例えば、貨物の集貨地点等は、点呼記録の記載事項ではなく、業務の記録に関係する事項です。安全規則第7条と第8条の違いを整理しておきましょう。
まとめ
今回は、貨物自動車運送事業輸送安全規則第7条(点呼等)について、関東運輸局が公開している役員法令試験の過去問を基に解説しました。
試験対策上、優先して確認しておきたい条文の一つです。
特に、次の4点を整理しておきましょう。
– 点呼で確認する事項
– アルコール検知器の備付け・管理と酒気帯び確認の方法
– 中間点呼が必要となる条件
– 点呼記録の記載事項と保存期間
過去問では、条文の一部の表現を入れ替えたり、記録すべき事項を別の条文の内容と入れ替えたりする問題も見られます。条文の数字や用語を覚えるだけでなく、何を、いつ、どのような方法で確認・記録するのかを整理しておきましょう。
このサイトでは、今後も役員法令試験の過去問を分析し、出題頻度の高い条文や重要な論点をシリーズとして解説していきます。
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