役員法令試験に合格するには、過去問の分析・攻略を欠かすことはできません。
この記事では「重要条文シリーズ」として、過去問を分析して頻出の条文と過去問を取り上げ、法令試験突破に必要な知識の習得の一助になればと思います。
今回は、貨物自動車運送事業輸送安全規則(以下「安全規則」といいます。)第20条(運行管理者の業務)を取り上げます。
この条文は役員法令試験でよく出る?
特に出題回数が多かった条文
関東運輸局が公開している令和3年5月から令和8年7月までに実施された計32回の過去の試験問題を分析した結果、安全規則第20条に関する問題は延べ19問出題され、今回の分析で出題回数が多かった条文の一つでした。
安全規則第20条とは
条文の内容
| (運行管理者の業務)※( )内の数字は「号」 第20条 運行管理者は、次に掲げる業務を行わなければならない。 ⑴ 一般貨物自動車運送事業者等により運転者(特定自動運行貨物運送を行う場合にあっては、特定自動運行保安員)として選任された者以外の者を事業用自動車の運行の業務に従事させないこと。 ⑵ 第3条第3項の規定により、乗務員が休憩又は睡眠のために利用することができる施設を適切に管理すること。 ⑶ 第3条第4項の規定により定められた勤務時間及び乗務時間の範囲内において乗務割を作成し、これに従い運転者を事業用自動車に乗務させること。 ⑷ 第3条第5項の規定により、同項の乗務員を事業用自動車に乗務させないこと。 ⑷の2 第3条第6項の規定により、乗務員の健康状態の把握に努め、同項の乗務員を事業用自動車に乗務させないこと。 ⑸ 第3条第7項の規定により、交替するための運転者を配置すること。 ⑹ 第4条の規定により、従業員に対する指導及び監督を行うこと。 ⑺ 第5条の規定による貨物の積載方法について、従業員に対する指導及び監督を行うこと。 ⑺の2 第5条の2の規定により、運転者に対する指導及び監督を行うこと。 ⑻ 第7条の規定により、運転者に対して点呼を行い、報告を求め、確認を行い、及び指示を与え、並びに記録し、及びその記録を保存し、並びにアルコール検知器を常時有効に保持すること。 ⑼ 第8条の規定により、運転者に対して記録させ、及びその記録を保存すること。 ⑽ 第9条に規定する運行記録計を管理し、及びその記録を保存すること。 ⑾ 第9条に掲げる事業用自動車で同条に規定する運行記録計により記録することのできないものを運行の用に供さないこと。 ⑿ 第9条の2の規定により、同条各号に掲げる事項を記録し、及びその記録を保存すること。 ⑿の2 第9条の3の規定により、運行指示書を作成し、及びその写しに変更の内容を記載し、運転者に対し適切な指示を行い、運行指示書を事業用自動車の運転者に携行させ、及び変更の内容を記載させ、並びに運行指示書及びその写しの保存をすること。 ⒀ 第9条の5の規定により、運転者台帳を作成し、営業所に備え置くこと。 ⒁ 第10条(第4項を除く。)の規定により、乗務員に対する指導、監督及び特別な指導を行うとともに、同条第一項による記録及び保存を行うこと。 ⒁の2 第10条第2項の規定により、運転者に適性診断を受けさせること。 ⒂ 第11条に規定する場合にあっては、同条の規定による措置を講ずること。 ⒃ 第18条第3項の規定により選任された補助者に対する指導及び監督を行うこと。 ⒄ 自動車事故報告規則第5条の規定により定められた事故防止対策に基づき、事業用自動車の運行の安全の確保について、従業員に対する指導及び監督を行うこと。 (第2項省略) 3 運行管理者は、一般貨物自動車運送事業者等に対し、事業用自動車の運行の安全の確保に関し必要な事項について助言を行うことができる。 (第4項省略) |
安全規則第20条の内容は?
安全規則第20条は、「運行管理者」の業務を定めた条文です。
第20条第1項に定める運行管理者の業務のうち、主なものは以下のとおりです。
| 号 | 主な業務内容 |
| 第2号 | 乗務員の休憩・睡眠施設の管理 |
| 第3号 | 乗務割の作成、運転者への乗務指示 |
| 第5号 | 長距離運転、夜間運転の交代運転者の配置 |
| 第6号 | 従業員に対する過積載防止の指導、監督 |
| 第7号 | 従業員に対する貨物の積載方法の指導、監督 |
| 第7号の2 | 運転者に対する通行方法(通行の禁止・制限等)の指導、監督 |
| 第8号 | 点呼の実施、報告、確認及び指示、並びにその記録、記録を保存し、並びにアルコール検知器の使用と常時有効に保持 |
| 第9号 | 運転者ごとに乗務記録をさせ、記録保存 |
| 第10号 | 運行記録計の管理及び記録保存 |
| 第12号 | 事故の記録と保存 |
| 第12号の2 | 運行指示書の作成、運転者の携行、変更内容の指示、記載、運行指示書等の保存 |
| 第13号 | 運転者台帳を作成し、運転者の所属営業所に備える |
| 第14号 | 乗務員の指導、監督及び運転者の特別な指導記録、3 年間の保存 |
| 第14号の2 | 運転者に適性診断を受けさせる |
| 第15号 | 異常気象時等の乗務員への指示・措置 |
| 第16号 | 補助者に対する指導、監督 |
| 第17号 | 事故警報に基づく従業員の指導、監督 |
実際に出題された役員法令試験でも、この運行管理者の業務に関して出題がされています。
実際の過去問を見てみよう
これまで出題回数の多かった問題をいくつか挙げていきます。
なお、「問題番号」は、出題された「年」、「月」、問題の「番号」を記載したものです。
例)「R8-5-16」の場合、「令和8年5月」実施も問題「16」を意味します。
また、出題回数とは、本件分析期間(令和3年5月実から令和8年7月までに実施された計32回)の中で出題された回数を記載しております。
過去問①(出題回数:4回)
問題番号:R8-7-4、R7-1-10、R5-1-14、R3-5-9
《問題》
運行管理者の業務の範囲は国土交通省令で定められているが、乗務員等が休憩又は睡眠のために利用することができる施設を適切に管理することもその範囲に含まれる。
【正解・解説】
正解:○
解説:設問のとおり。(第20条第1項第2号参照)
休憩・睡眠施設を適切に管理することは、運行管理者の業務です。
なお、休憩・睡眠施設の整備等については、運送事業者が遵守すべき事項として安全規則第3条第3項に定められています。運行管理者の「施設の管理」と、事業者が行う施設の整備等を区別して押さえておきましょう。
過去問②(出題回数:4回)
問題番号:R7-9-19、R6-9-17、R6-3-15、R4-3-14
《問題》
運行管理者が行わなければならない業務は、貨物自動車運送事業輸送安全規則で定められているが、道路運送車両法に規定する日常点検の結果に基づき、運行の可否を決定することは、運行管理者の業務に含まれない。
【正解・解説】
正解:○正
解説:設問のとおり。「点検の結果に基づき、運行の可否を決定すること」は整備管理者の業務です。(道路運送車両法施行規則第32条第1条第1号及び2号参照)
過去問③(出題回数:2回)
問題番号:R8-5-15、R5-11-5
《問題》
運行管理者の業務の範囲は国土交通省令で定められているが、貨物の積載方法について従業員に対する指導及び監督を行うこともその範囲に含まれる。
【正解・解説】
正解:○正
解説:そのとおり、貨物の積載方法について、指導・監督を行うことは運行管理者の業務す。(第20条第1項第7号参照)
過去問④(出題回数:2回)
問題番号:R6-7-17、R5-7-15
《問題》
運行管理者の業務の範囲は国土交通省令で定められているが、自動車の点検及び整備並びに自動車車庫の管理に関する事項を処理することは国土交通省令で定められている運行管理者の業務の範囲に含まれない。
【正解・解説】
正解:○正
解説:そのとおり。自動車の点検及び整備並びに自動車車庫の管理に関する事項は整備管理者の業務です。(道路運送車両法施行規則第32条第1項参照)
過去問⑤(出題回数:2回)
問題番号:R6-5-3、R5-5-5
《問題》
運行管理者の業務の範囲は国土交通省令で定められているが、乗務員が休憩又は睡眠のために利用することができる施設及び自動車車庫を適切に管理することもその範囲に含まれる。
《正解・解説》
正解:×誤
解説:「自動車車庫を適切に管理すること」は、整備管理者の業務です。(道路運送車両法施行規則第32条1項8号)
過去問⑥(出題回数:2回)
問題番号:R6-1-27、R4-1-29
《問題》
運行管理者が行わなければならない業務について、貨物自動車運送事業輸送安全規則の中で定められていない事項を、次の①から③より1つ選び、( )内にその番号を記入しなさい。
① アルコール検知器を常時有効に保持すること。
② 運転者等の業務の記録をすること。
③ 乗務員等が休憩又は睡眠するための施設を適切に管理すること。
【正解・解説】
正解:②
解説:「運転者等の業務の記録をすること」は、運転者自身が行う業務です(安全規則第8条第1項参照)。
これに対し、運行管理者の業務は、運転者に記録させ、その記録を保存することです。(同規則第20条第1項第9号参照)
運転者自身が記録することと、運行管理者が記録させることは別の業務です。この違いを押さえておきましょう。
その他、①の「アルコール検知器を常時有効に保持すること」は、安全規則第20条第1項第8号で定められた運行管理者の業務です。
また、③の「乗務員等が休憩又は睡眠するための施設を適切に管理すること」は、同項第2号に定められた運行管理者の業務です。
過去問⑦(出題回数:1回)
問題番号:R7-5-28
《問題》
貨物自動車運送事業輸送安全規則に規定されている運行管理者の業務について、誤っている事項を①から③より1つ選びなさい。
①定期点検記録簿その他の点検及び整備に関する記録簿を管理すること。
②運転者等に対して点呼を行い、報告を求め、確認を行い、及び指示を与え、並びに記録し、及びその記録を保存し、並びに運転者に対して使用するアルコール検知器を常時有効に保持すること。
③運行指示書を作成し、及びその写しに変更の内容を記載し、運転者等に対し適切な指示を行い、運行指示書を事業用自動車の運転者等に携行させ、及び変更の内容を記載させ、並びに運行指示書及びその写しの保存をすること。
【正解・解説】
正解:①
解説:点検整備記録簿その他の点検・整備に関する記録簿を管理することは、道路運送車両法施行規則第32条第1項第7号に定められた整備管理者の業務です。
一方、②の点呼及びアルコール検知器に関する業務は、安全規則第20条第1項第8号、③の運行指示書に関する業務は、同項第12号の2に定められた運行管理者の業務です。
この条文で押さえておきたいポイント
運行管理者と整備管理者の業務を整理する
過去問を確認すると整備管理者の業務を交えて問う問題が多く出題されています。
過去問で出題された運行管理者の業務と整備管理者の業務を整理して押さえておく必要があります。
| 運行管理者 | 整備管理者 |
| ○休憩・睡眠施設を適切に管理すること ○貨物の積載方法について従業員に対する指導・監督 ○運転者等に対して点呼を実施、 報告を求め、確認を行い、指示を与え 記録しその記録を保存 アルコール検知器を常時有効に保持。 ○運行指示書を作成し、 写しに変更内容を記載し、 運転者等に対し適切な指示を行い、 運行指示書を運転者等に携行させ、 変更の内容を記載させ、 運行指示書及びその写しの保存 | ○点検結果に基づき、運行の可否を決定すること ○定期点検記録簿その他の点検・整備に関する記録簿を管理すること ○自動車の点検・整備及び自動車車庫の管理に関する事項を処理すること |
まとめ
今回解説した安全規則第20条は、運行管理者の業務を定めた条文であり、今回分析した過去問でも繰り返し出題されている重要な条文です。
試験対策では、運行管理者の業務を覚えるだけでなく、整備管理者の業務との違いを正確に理解しておくことが重要です。
特に、休憩・睡眠施設の管理、点呼、運行指示書、点検整備記録簿の管理などについて、誰が何を行うのかを整理しておきましょう。 このサイトでは、今後も、役員法令試験の過去問から出題頻度の高い条文についてシリーズ化して解説していきます。
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