【2026年10月改正】白トラ対策を強化|無許可の有償貨物運送に対する行政処分が厳格化

2026年10月1日から、いわゆる「白トラ」行為に対する行政処分の基準が改正されました。

今回改正されたのは、自家用自動車を使用する者が、道路運送法または貨物自動車運送事業法に違反した場合の行政処分基準です。

特に、無許可・無届出で有償の貨物運送を行うなど、貨物自動車運送事業法に違反した場合について、車両の使用制限・禁止の日数が引き上げられました。

今回の改正では、対象となる違反について、初違反の場合の処分日数が従来の60日から120日に引き上げられています。

この記事では、国土交通省が2026年9月29日付けで通知した行政処分基準の改正について、運送会社や荷主が知っておきたいポイントを整理します。

そもそも「白トラ」とは?

「白トラ」とは、一般に、白ナンバーの自家用トラックを使って、貨物自動車運送事業の許可・届出を受けずに有償で貨物を運送する行為を指して使われる言葉です。

貨物自動車運送事業法では、他人の需要に応じ、有償で自動車を使用して貨物を運送する場合、原則として貨物自動車運送事業の許可または届出が必要となります。

ただし、白ナンバーのトラックを使った運送がすべて違法というわけではありません。

例えば、自らの販売・製造・修理等のために行う物品の運送など、自己の生業と密接不可分で、その業務に付帯して行われ、運送の対価としての有償性が認められない場合には、許可・届出が不要となる場合があります。

国土交通省も、白ナンバートラックでの運送がすべて違法になるわけではなく、個々の事案ごとに判断されるとしています。

2026年10月1日から行政処分基準を改正

国土交通省は2026年9月29日付けで、「自家用自動車を使用する者による道路運送法又は貨物自動車運送事業法違反行為に対する行政処分基準について」を一部改正しました。

今回の改正は、2026年10月1日以降の違反行為から適用されます。

2026年9月30日までの違反行為については、改正前の基準が適用されます。

今回の改正で特に重要なのが、自家用自動車を使用する者に対する車両の使用制限・禁止の日数です。

何が変わった?初違反の処分日数が60日から120日に

今回の改正対象となったのは、

・道路運送法第4条第1項(一般旅客自動車運送事業の許可)

・道路運送法第43条第1項(特定旅客自動車運送事業の許可)

・貨物自動車運送事業法第3条(一般貨物自動車運送事業の許可)

・同法第35条第1項(特定貨物自動車運送事業の許可)

・同法第36条第1項(貨物軽自動車運送事業の届出)

に違反した場合です。

これらについて、処分日数は次のように改正されました。

違反の区分改正後改正前
初違反120日60日
再違反180日120日
再々違反180日180日

つまり、今回の改正では、特に初違反と再違反の処分日数が引き上げられています。

初違反については、60日から120日となり、処分日数が2倍になりました。

なぜ「白トラ対策」が強化されているのか?

今回の行政処分基準の改正だけを見ると、単に処分日数が引き上げられたように見えます。

しかし、2026年は白トラをめぐる制度そのものも変わっています。

2026年4月1日からは、改正貨物自動車運送事業法により、違法な白トラ事業者に貨物の運送を委託した荷主等も新たに処罰の対象となりました。

また、違法な白トラ事業者に運送を委託している疑いがある荷主等については、トラック・物流Gメンによる是正指導の対象にもなっています。

さらに国土交通省は、2026年10月・11月を荷主・元請事業者に対する「集中監視月間」とし、違法な白トラへの運送委託について警察とも連携して監視・周知を行うとしています。

このように、2026年は白トラを利用する側、白トラを行う側の双方について対策が強化されていることが分かります。

「白ナンバーなら違法」ではないことに注意

ここは重要なポイントです。

今回の改正を見て、

「白ナンバーのトラックを使った運送は違法になった」

と考えるのは正確ではありません。

国土交通省は、2026年4月からの改正について、貨物自動車運送事業法上の許可・届出の要否や基準そのものを変更するものではないと説明しています。

重要なのは、

「誰のために運ぶのか」

「有償なのか」

「貨物自動車運送事業に該当するのか」

という点です。

白ナンバーの自家用自動車による運送であっても、自己の販売・製造・修理等のために行う物品の運送など、貨物自動車運送事業の許可・届出が不要となる場合があります。

一方、許可等が必要な運送を無許可等で行えば、今回の行政処分基準の対象となる可能性があります。

「初違反120日」は何を意味するのか?

今回の改正で注意したいのが、「120日」という数字です。

これは、一般貨物自動車運送事業者に対して120日間の事業停止処分を行うという意味ではありません。

今回の通達は、「自家用自動車を使用する者に対する車両の使用制限又は禁止の日数」について定めたものです。

つまり、今回の改正は、無許可等の違反を行った自家用自動車について、その車両の使用を制限・禁止する場合の処分日数を定めたものです。

ここは、一般貨物自動車運送事業者に対する通常の行政処分基準とは区別して理解する必要があります。

再違反・再々違反の場合はどうなる?

今回の基準では、

– 再違反:180日

– 再々違反:180日

とされています。

また、「再違反」とは、行政処分を受けた日から3年以内に同一条項に違反したものをいい、「再々違反」とは、行政処分を受けた日から3年以内に同一条項に2回以上違反したものとされています。

したがって、単純に「過去に一度でも違反したら再違反」となるわけではなく、今回の基準に定められた再違反・再々違反の定義を確認する必要があります。

違反をした場合、処分日数が必ずそのまま適用されるのか?

今回の基準には、軽減措置も定められています。

特に事情がある場合には、軽減措置として処分日数を最大限2分の1とすることができるとされています。

ただし、「特に事情がある場合」にどのような事情が該当するのかについて、今回の改正通知だけで個別具体的な判断基準を説明することはできません。

したがって、

 「120日が必ず120日そのまま適用される」

とも、

 「事情があれば必ず半分になる」

とも考えず、個別の事案に応じた行政処分の判断が行われるものと理解しておく必要があります。

運送会社が注意しておきたいこと

今回の改正は、自家用自動車を使用する者に対する行政処分基準の改正です。

そのため、一般貨物自動車運送事業の許可を受けて営業している運送会社に、今回の「120日」という処分がそのまま適用されるという話ではありません。

一方で、運送会社が荷主や取引先から貨物の運送を受託する際には、誰が実際に運送を行うのかを確認することが重要になります。

特に、運送を第三者に委託する場合には、

– 実際に運送を行う事業者は誰なのか

– 貨物自動車運送事業の許可・届出が必要な運送ではないか

– 適法な事業者による運送なのか

といった点を確認することが、取引の適正化という観点からも重要になります。

2026年は「白トラ対策」が大きく動いている

2026年4月1日からは、違法な白トラを利用した荷主等への規制が強化されました。

そして10月1日からは、無許可等で有償運送を行う自家用自動車の使用者について、行政処分基準が改正されました。

さらに10月・11月には、国土交通省が荷主・元請事業者に対する集中監視月間を実施し、違法な白トラへの運送委託について警察とも連携した取組を行っています。

このように、現在は、「白トラを行う側」だけでなく、

「白トラを利用・委託する側」

についても、制度・監視の両面から対策が強化されています。

運送会社や荷主にとっては、白ナンバー車による運送について、「白ナンバーだから違法」「白ナンバーだから問題ない」と単純に判断するのではなく、その運送が貨物自動車運送事業法上どのような位置付けになるのかを確認することが重要です。

まとめ

2026年10月1日から、白トラ行為などに関係する自家用自動車の使用者に対する行政処分基準が改正されました。

今回のポイントは次のとおりです。

1. 自家用自動車を使用する者による道路運送法・貨物自動車運送事業法違反について、行政処分基準が改正された。

2. 一定の違反について、初違反の車両使用制限・禁止の日数が60日から120日に引き上げられた。

3. 再違反は180日、再々違反も180日とされている。

4. 改正後の基準は、2026年10月1日以降の違反行為から適用される。

5. 2026年4月からは違法な白トラへの運送委託について荷主等への規制も強化されており、10月・11月には集中監視も行われている。

白トラ対策は、2026年に入って大きく動いています。

運送会社や荷主にとっても、白ナンバー車による貨物運送について、許可・届出の要否や運送の適法性を改めて確認しておきたいところです。

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この記事を書いた人 Wrote this article

行政書士石川まさゆき

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