【2026年10月最新】「適正原価」とは?改正トラック法で導入される制度と国土交通省の検討状況を解説

国土交通省では、改正トラック法によって導入される「適正原価」の設定に向けた検討が進められています。

2026年10月1日には、第3回「適正原価の設定に向けた有識者検討会」が開催され、関係団体へのヒアリングや、適正原価の設定に向けた個別論点の検討が行われました。

では、第3回検討会を経て、「適正原価」の検討はどこまで進んでいるのでしょうか。

この記事では、国土交通省が公表している資料をもとに、運送会社が知っておきたい「適正原価」の制度と、現在の検討状況を整理します。

適正原価」とは?

「適正原価」は、2025年6月に成立・公布された改正貨物自動車運送事業法によって導入される制度です。

国土交通省によれば、改正法では、トラック運送事業者が自ら貨物を運ぶときや、他のトラック運送事業者等に運送を委託するときは、国土交通大臣が定める「適正原価」を継続して下回らないようにすることとされています。

この規定は、改正法の公布から3年以内に施行されることとされています。

一方、現時点では、国土交通省が「適正原価」を具体的にいくらとするのか、その金額が決定されたという段階ではありません。

現在は、どのような考え方で「適正原価」を設定するのが適切なのかについて、有識者や関係団体から意見を聞きながら検討が進められています。

第3回「適正原価の設定に向けた有識者検討会」が開催

2026年10月1日、第3回「適正原価の設定に向けた有識者検討会」が開催されました。

第3回検討会では、関係団体へのヒアリングと、「適正原価の設定に向けた個別論点の検討①」が行われました。

ヒアリングの対象となったのは、次の5団体です。

– 公益社団法人 全国通運連盟

– 全国交通運輸労働組合総連合

– 一般社団法人 日本経済団体連合会

– 全国中小企業団体中央会

– 一般社団法人 日本新聞協会

このように、第3回検討会では、運送事業者側だけではなく、労働組合、経済界、中小企業団体、荷主側の関係団体など、さまざまな立場から意見を聞く形で検討が進められています。

第3回検討会で「適正原価」は決まったのか?

ここは、運送会社として特に注意したいところです。

第3回検討会が開催されたからといって、「適正原価の金額が決まった」ということではありません。

国土交通省が公表している検討会の資料を見ると、第3回では関係団体へのヒアリングに加えて、「適正原価の設定に向けた個別論点の検討①」が行われています。

つまり、現在も「適正原価をどのように設定するのか」という制度設計の検討が続いている段階です。

今後、国土交通省から具体的な考え方や算定方法等が示されるかどうかを含め、引き続き検討状況を確認する必要があります。

「適正原価」が決まれば、運賃も自動的に決まるのか?

「適正原価」という言葉から、

「適正原価が決まれば、運送会社の運賃も一律に決まるのでは?」

と考える方もいるかもしれません。

しかし、現時点で国土交通省が検討しているのは、「適正原価」の設定です。

第3回検討会においても、適正原価の設定に向けた個別論点について検討が行われています。

したがって、現段階で、「適正原価が○円に決まり、すべての運送会社の運賃が○円になる」

というような制度内容が決定したわけではありません。

今後、具体的な制度設計が示された段階で、その内容を確認する必要があります。

運送会社は今から何を確認しておけばよいのか?

ここからは、国土交通省が発表した制度そのものではなく、今回の検討状況を踏まえた運送会社としての実務上の考え方です。

現時点では「適正原価」の具体的な金額や算定方法が決まっていないため、特定の計算方法に合わせて準備することはできません。

一方で、自社の運送にどの程度のコストがかかっているのかを把握しておくことは、今後の制度を考えるうえで無駄ではありません。

例えば、

– 車両ごとのコスト

– 燃料費

– 修繕費

– ドライバーの人件費

– その他の運行に必要な費用

– 待機時間や附帯作業に関係する負担

など、自社の実際のコストを整理しておくことです。

これは、「国土交通省がこのように計算しなさいと決めたから準備する」という意味ではありません。

今後、適正原価の具体的な内容が示された場合に、自社の運送コストと照らし合わせて考えるための基礎資料を持っておく、という意味での準備です。

「適正原価」の検討と取引適正化の動きにも注目

「適正原価」の検討だけでなく、運送業界では荷主・元請事業者との取引適正化に向けた取組も進められています。

国土交通省は2026年10月・11月を「集中監視月間」とし、「運賃・料金の不当な据置き」を「違反原因行為」の一つとして、トラック・物流Gメンによる監視を強化するとしています。

そのため、運送会社としては、「適正原価」の検討だけを見るのではなく、運賃・料金をめぐる取引環境についても、今後の動きを確認しておくことが重要です。

ただし、これらはそれぞれ別の制度・取組であるため、「適正原価が決まれば運賃問題がすべて解決する」と単純に考えることはできません。

今後の「適正原価」の検討に注目

「適正原価」の制度は、まだ具体的な金額や算定方法が決定した段階ではありません。

2026年10月1日の第3回検討会では、関係団体へのヒアリングに加えて、適正原価の設定に向けた個別論点についての検討が行われました。

今後の検討では、適正原価をどのような考え方で設定するのか、具体的な制度設計がどのように進められるのかが重要になります。

運送会社としては、国土交通省から今後示される情報を確認するとともに、自社の運送コストについても整理しておくとよいでしょう。

まとめ

今回の記事のポイントをまとめます。

1. 改正トラック法により、国土交通大臣が定める「適正原価」を継続して下回らないようにする制度が導入されます。

2. 2026年10月1日に第3回「適正原価の設定に向けた有識者検討会」が開催され、関係団体へのヒアリングや個別論点の検討が行われました。

3. 第3回検討会を経ても、現時点では「適正原価の具体的な金額が決定した」という段階ではありません。

4. 今後の制度内容を確認するためにも、運送会社として自社の運送コストを把握しておくことは、実務上の準備として意味があります。

「適正原価」が今後どのように設定されるのか。 運送会社の経営や荷主・元請事業者との取引にも関係する可能性があるため、今後の国土交通省の検討状況を引き続き確認していきたいところです。

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この記事を書いた人 Wrote this article

行政書士石川まさゆき

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