千葉で外国人の方のビザ申請、外国人雇用支援を中心に各種許認可申請のサポートをしております行政書士の石川まさゆきです。
「帰化」とは簡単に言うと「外国籍の方が日本国籍を取得すること」です。
日本で永住を考えていらっしゃる外国人の方の中でも最終的に帰化を考えている方もいらっしゃるかと思います。
今回、「帰化」について、その種類とそれぞれの要件について簡単に説明したいと思います。
帰化の種類
帰化は大きく分けて次の3種類に分かれます。
①普通帰化
普通一般の外国人の帰化がこれに当たります。
②簡易帰化
特別永住者(いわゆる在日韓国・朝鮮人)や日本人と結婚している外国人など、日本又は日本人 と深い関係のある外国籍の方がこれに当たります。
③大帰化
日本に特別の功労のある外国人について、法務大臣が国会の承認を得て帰化を許可するものです。これは非常に稀なケースですので、今回の説明には省略いたします。
帰化の要件
それでは「普通帰化」と「簡易帰化」について、それぞれの要件を見てみます。
普通帰化の要件
一般外国人の帰化条件については次のとおりです。
①居住要件「引き続き5年以上日本に住所を有すること」(国籍法5条1項1号)
「引き続き」とは、日本での居住が継続していることを指します。したがって、5年の間で長期間日本を出国していた場合は「引き続き」とは認められません。
目安は、一回の出国で3か月以上、短期であっても1年で150日以上日本を出国していた場合は「引き続き」と認められない可能性が高くなります。
なお、5年以上日本に居住していても、日本語能力が不十分である場合には、帰化を許可されない場合があります。
「住所」とは生活の本拠であり、適法なものである必要があります。
不法滞在者は日本に生活の本拠を有していたとしても、ここでの条件にはあてはまりません。
「5年以上」の期間のうち、満3年以上は就労系の在留資格を取得して就職している必要があります。10年以上日本に住んでいる場合、就労している期間が1年以上あれば大丈夫です。
②能力要件「18歳以上で本国法でも小売り能力を有すること」(国籍法5条1項2号)
年齢が18歳以上であること、さらに、本国の法律でも成年に達している必要があります。
なお、未成年であっても、父母とともに帰化を申請した場合、父母について帰化が認められれば未成年である本人も帰化が認められます。
③素行要件「素行が善良であること」(国籍法5条1項3号)
いわゆる真面目な人かどうかということです。
その判断の目安は
・未納・遅滞なく税金を払っているか
・未納・遅滞なく年金を払っているか
・交通違反、犯罪の前科がないか
などを勘案して判断されます。
④生計要件「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」(国籍法5条1項4号)
これは、現在および将来にわたり、公共の負担になることなく安定した生活を営むことができるかをみるものです。
申請者本人だけではなく「生計を一にする配偶者その他の親族」単位でみられるので、本人に収入がなくても、配偶者や親族から扶養・仕送り等で生計に問題がなければこの要件を備えていることになります。
貯金の多少ではなく、安定した職業について毎月安定した収入があるかがポイントになります。
⑤重国籍防止要件「国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこ」(国籍法5条1項5号)
日本は二重国籍を認めていません。帰化によって日本国籍を取得したら、母国の国籍を喪失することが要件となります。
⑥思想要件「政府を暴力で破壊することを企て、主張し、又はこのような政党・団体を結成、若しくは加入したことがないこと」(国籍法5条1項6号)
いわゆるテロリストのように日本国を破壊するような危険な考えを持っていないことが要件です。
簡易帰化その1(国籍法6条帰化)
主に在日韓国人・朝鮮人や日本に永く生活をしている一般外国人の方が対象となります。これに該当する場合、前記の「居住要件」は緩和されます。
①日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有するもの(国籍法6条1項)
親が外国籍を取得するなどをして日本国籍を喪失した場合、その子供は「日本国民であった(親の)子」に当たりますので、その子が引き続き3年以上日本で生活をすれば日本国籍を取得することができます。
②日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの(国籍法6条2項)
例えば、日本で生まれた在日韓国人・朝鮮人の方がこれに当てはまります。
③引き続き10年以上日本に居所を有している者(国籍法6条3項)
在日韓国人・朝鮮人の方のほか、一般の外国人の方でも10年以上日本に居住し1年以上就労経験があればこの要件に当てはまります。
もちろん、適法な在留資格を有して居住していることが条件となります。
簡易帰化その2(国籍法7条帰化)
日本人の配偶者たる外国人で次の条件を満たしている方が対象となります。
これに該当する場合、前記の「居住要件」と「能力要件」が緩和されます。
①日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所・居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するもの(国籍法7条前段)
婚姻の長短は問いません。日本人と結婚していれば、3年以上の日本居住の段階で要件に該当します。
②日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有するもの(国籍法7条後段)
これは例えば、日本人と結婚して3年を経過していれば、海外で生活していてもその後来日して1年以上日本に住めば条件に該当することになります。
簡易帰化その3(国籍法8条)
いままで説明してきたもの以外に日本人や日本国と密接な血縁・地縁関係を有する方が対象となります。
これに該当する場合、前記の「居住要件」「能力要件」「生計要件」が緩和されます。
①日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの(国籍法8条1項)
両親が日本人である必要はありません。父母のどちらかが日本人であれば足ります。
また、その父母が日本人であるか否かは申請される本人の帰化申請の時点で判断されますが、当該父母が死亡の際に日本人であった場合も含まれます。
これに該当するのは、親が先に帰化をして日本国籍を取得し、その後で子供が帰化を申請する場合などです。
②日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であつたもの
例えば、未成年の時に親が日本人と再婚して、連れ子として来日し、日本人側の義理の父又は母と養子縁組をしたような場合が当てはまります。
なお、成年養子はこれに除外されています。
③日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く。)で日本に住所を有するもの
もともと日本国籍を有していた方が該当します。日本国籍を失った原因は問いません。
④日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの
日本で出生したにもかかわらず無国籍となっている子が対象となります。
今回は帰化の種類と要件について簡単に説明いたしました。
帰化の申請は多くの時間と手間がかかり、集める資料も膨大です。自分で手続きをしようにも、その煩雑さから挫折してしまう人もいるくらいです。
そのようなときには、遠慮なく専門家に頼りましょう。
行政書士は帰化申請をお手伝いできる専門家です!
↓↓↓
「行政書士石川まさゆき事務所のホームページ」